「河畔で映画を」の巻

 ドイツでは、劇場・テレビを総じて上映される映画はほぼ吹き替えである。比較的映画好きな私だが、それ故に映画館へなかなか足を運ばずにいた。ドイツ語字幕がわからなくとも、映画は本来の音声で観たい。
 そんな風にしばらく映画から離れ気味だったせいで、河畔の謎のステージ(カメ隙「夏のドレスデン:エルベ河畔」参照)の正体が野外映画館のスクリーンだと知った時、「エルベ河畔映画の夜」(2005年6月23日〜8月21日)は既に一か月分を終えていた。それから更に二週間後、『スター・ウォーズ エピソードIII:シスの復讐』を観に行って初めて、屋外ゆえの迫力(と寒さ)を満喫したのである(「ひと・ひと」2005年8月3日 参照)。
 ほとんどの興行は、開場20時・開映21時と遅い。日の長いドイツの夏では仕方ないのだが、実際には21時開始の後30分近くもCMやら予告やらが入るので、2時間以上の長編作品を観終わるともう真夜中である。そして寒い。どうやら今年は異常らしいが、カレンダーが信じ難いぐらいの寒さだ。しかも天気が不安定。朝から何度も天気が変わるので、夜になってから雷雨になることも少なくない。先日も疑問に思ったのだが、コレ雨が降ったらどうするんだろう?ドイツだけに、雨天決行(!)なんてこともあり得そうだ…。
 なかなか行きにくい状況ではあるが、新旧作品とりまぜてはいるものの、基本的に劇場上映の終わったものを、一作品一晩限り上映している興行である。古い映画、珍しい映画はもちろん、少し前に劇場で見逃した作品を大スクリーンで観るラストチャンスとも言えよう。世界遺産の風景をバックに映画を観るのもおつなものである。
 …というわけで、今回は『ヒトラー〜最後の12日間〜』(原題:『Der Untergang*』デア・ウンターガング)を観に乗り込んだ。ドイツ映画なので音声に不満(?)はない。前回の『エピソードIII』にも増して、屋外で、実際にあった戦争の映画を観るのはなんとも迫力なものだが、この映画、始まった瞬間からエンディングである。まさにタイトル通り。のっけから追い込まれてマス。ここから約2時間半…。そして寒い。ドイツ語故に台詞があまりよくわからなかったが、話は理解できた。長さもあまり感じなかった。個人的には非常に良い映画だと思う。…が寒い。
 いったん行きつけると次々行きたくなるのが映画である。せっかくなので、言葉の訓練も兼ねて、次回は明後日『アヴィエーター』、レオくんが初めて大きな賞を取った作品である。…今度はセーター必修かな。

 余談だが、ドレスデンのこのエルベ川にかかっていた橋は、戦時中一つを除いて全てナチスの命により落とされたという。唯一戦争を生きのびた青い橋は、地元の住民がそれを守る為にこっそり爆薬をはずしてしまったのだとか。架橋当時の奇跡的な技術から「青い奇跡」と呼ばれる橋(カメ隙「雪のドレスデン」参照)の、もう一つの奇跡だという話である。


*斜陽、没落の意
『Der Untergang:Der Hitler und das Ende des 3. Reichs』(直訳『没落:ヒトラーと、第三帝国の終焉』)







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