「食す1:ものは試し」

 私は基本的に食べ物の好き嫌いがない。こだわりもあまりない。この事実は、食文化の異なる海外生活においては有利というべきで、例えば、10人中11人に聞かれるような「イギリスって食べもの不味いんでしょ?」という質問にも「んー、でも私は問題なくおいしく食べてたけどね」と回答する次第である。
 当然、旅行中の外出先で、何だかおいしそうなものが正体不明(要するに単語が分からない)であったとしても、全く問題ではない。例えば中身がわからないバゲットサンド、プラムであることはわかるが名称はただの“プラムのケーキ”ではないらしいクーヘン、etc。覚えていれば後で辞書をひいて意味を調べたりもするが、街歩きの最中にいちいちそんなことはしてられない。

 さて、日本出発前にラーメンを食べ損なったことが尾を引いて、(アジアの)麺類が食べたくなったのはニュルンベルクに入った日。折よく目の前に中華料理店がある。
 たまにはチャイニーズもいいか、とためらいなく店に入り、麺・麺・麺…とメニューをめくり、 「Nudeln(ヌーデルン=麺類)」の項に目を通す。例によってなんだか意味不明の単語が並んでいるが、ま、いいか、とりあえず汁物の麺が食べたかったのよ。一応野菜の多そうなのにしよう。
 …そして、数分後。
 目の前に置かれたのは“皿に盛られた”麺。それは…。「……焼きソバ?
 ああ、そういえばメニューには書いてあったような気がする…。「gebratene (ゲブラーテネ=炒めた/焼いた)Nudeln」……。
 食べ物にこだわらなくても、単語がわからなくてもいい。でも知ってる単語ぐらいはちゃんと読もう。そう肝に銘じた午後のひとときである。




Copyright (C) 2005 Yuki, All rights reserved.