2005.1.8 「国境の国―リヒテンシュタインー」の巻

 ザルツブルクからの山麓の町まち。車窓から見るインスブルックはむしろザルツブルクよりも大きいんじゃないかと思われたり。乗換のフェルトキルヒまではほとんど谷間の集落の連続だったけど、フェルトキルヒは急に開けていて、国境の町の駅として新興したのかしらん?と勝手に想像する。
 オーストリアとスイスの間、リヒテンシュタイン公国。スイス・フランが流通し、公共サービスの多くがスイスと共通(というか依存というか)するこの国は、やはりスイス側から訪れるのが定番のようで、オーストリアから乗り込もうとした私にはウィーンの旅行代理店でホテル情報を得る事すらできなかった。(結局インターネットでスイス内のホテルに予約。)
 そのフェルトキルヒからリヒテンシュタインの首都ファドゥーツまでは電車で15分。地元・北海道の「ふるさと銀河線」*を彷彿させる車両と路線ではパスポートコントロール等もなく、危うく乗り過ごすところだった。しかも駅閉まってるし!郵便局もなにもダメ。田舎の土曜日をナメてたわ!……と思っていたら、目の前に「Vaduz→」の看板が…。…え?!ここファドゥーツじゃないの?!
 通りすがりの人に確認したら、ここはシャーン(Schaan)という。そういや乗換案内も「Schaan-Vaduz」だった。どおりで…。まあ良かった。降り損なっていたら次の駅までものの3分、リヒテンシュタインを突き抜けてもうスイスだもんね。比較的早期に気づいたのを幸い、とっととファドゥーツへ移動。歩いても30分ぐらい、とのことだったが、道行きに不安を感じたのでサクッとバスに乗った。
 ファドゥーツでは目当ての切手博物館が開いていて幸いだった**。2フラン払って一応公式の入国スタンプも押してもらったし(ただの記念スタンプなので、別に押してもらわなくてもなんら問題はないが)。時間が心配だったしどうせ中には入れないので山の上のお城へは上がらなかったが、後日この国の事を少々調べて若干後悔。リヒテンシュタイン公国という国は、事実上ヨーロッパ最後の絶対君主制とも言われる国で、公家の私有財産は国家財産を遥かに凌ぐものであるらしい。そんな一家のおうち…外からでもちょっと覗いてみたいじゃないか。
 まあ、当日はそんなこと思いも寄らなかったのだから仕方が無い。とにかくその日の内に反対側へ国境を越え、そのままスイス入り。3分で着いたブクス(Buchs)の駅から今度は国境沿いに南下してホテルのあるサルガンス(Sargans)へ向かう。
 この沿線が今回の旅で最も印象的な風景を見せた。スイス側に入ってブクスからサルガンスまでは30分程度。真冬の、既に真っ暗に日の落ちた時間、国境沿いに走る電車の窓から見える夜景―斜面に点々と続くまばらな町の灯―が川向こうの隣の国(!)であること。
 日本では決して経験し得ない、不思議な感覚だった。

*ふるさと銀河線についてはこちら「北海道雑学百科ぷっちがいど」
**土曜日に開いているとは限らないらしいので、訪れる際には要確認。


シャーン=ファドゥーツの駅。ばっちり閉まってやがった。

 
ファドゥーツの町


山の上にお城を見上げて。国よりお金持ちな一家が今でも居住している。

 
翌日散策したサルガンスの町。古い城跡と間近に迫る岩山。


かつての地球の活動をそのまま記録して展示しているかのような、露な岩層。



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