2008.12.31 「年越しフライト1ー日付越え編ー」の巻

 黙っていても5連休だったクリスマス*の後に、きっちりギリギリまで働いてから休暇をとることにした今年の冬。30日が仕事納めとなる為*、日本帰省便は31日発アムステルダム経由を予約した。日本到着は元旦の昼前である。
 年越しの瞬間を上空で迎えるとあって、事前から友人知人の関心はそれなりに高かった。
「どこらへん?」「たぶんシベリア上空?」「そうでなくてもどこかロシア上空。」「飛行機の中でお祝いだね。」「ごちそう出るかな。」「おせち出るかもよ!」「シャンパンは出るよね?」「花火とかしたりして!」「飛行機の中で?!」「じゃ、上から見えるかもよ?!」「楽しみだねー!!」・・・・・・どんなパーティフライトだ?! 
 大体私が乗るのはKLMオランダ航空だ(だからアムス経由)。いくら日本行きとはいえおせち料理は出ないだろう。シャンパンはまあ期待できるかもしれないが、どこか景気の良い航空会社ならまだしも、昨今の不景気と緊縮経営(?)の中、そんなごちそうが機内食(ごとき)に出るとは思えない。
 というわけで、私は機内での振る舞いそのものにはほとんど期待をかけていなかったが、周囲があんまり同じ様な夢を語ってくれるので、ギャップが寧ろ楽しみになってきた。
 だが実際のところ、数年前に機上年越しの経験のある友人によると、シャンパンこそ振る舞われたものの、機内アナウンスが流れて終わりだったという。「日系航空会社だったけど、(おせちなんて)ぜーんぜん!」というから、いわんやKLMをや。まして本年後半は世界不況。・・・ああ、ますます期待できない・・・。
 かような期待と諦めを抱えて乗り込んだアムステルダムの空港だが、乗り継ぎの為に降りた瞬間から、「うわ、真っ白・・・。」な霧景色。長距離国際線は予定通り飛んでくれるのだろうか?ただでさえ、移動に継ぐ更なるフライトが東京で待っているというのに、到着が遅れてはたまったものではない。
 そして不安的中。予定時刻に搭乗は始まったものの、直後に運行遅延がアナウンスされた。翼の上に薄く氷が張っているのをなんとかしなければならないらしい。離陸予定が確定されないまま、小一時間の遅れだけは決定的となり、不安がじりじりと募っていく中、やがて新たなアナウンスが流れた。
 「ただ今、日本では新年を迎えました。…(中略)…本来は北欧上空でのお祝いの予定でしたところ、少々場所は変わりましたが、シャンパンをお配りし、皆様と共にお祝いしたいと思います。」
は?!・・・今?もう?ここで?!・・・。 
 そうして、乗務員がにこやかに振る舞って回ったシャンパンをプラスチックカップで頂きながら、アムステルダムの灰色の空港に繋ぎ止められたまま、窓から覗く無機質な風景と共に、(何故か日本時間で)2009年を祝ったのであった。・・・まだあと8時間あるんだけどな!ココでは!
 
*ドイツでは12月25・26日がクリスマスの祝日。12月24日と31日は法的には祝日ではないが、お役所や企業・商店など、慣習により休みになる所が多い。




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