2006.5.6 「驚怖のアムスーオトナの社会見学ー」の巻

 今回初めてオランダへ行く、と決まったくせに、日々の忙しさにかまけておよそ1項目も予習をしていかなかった私は、アムステルダムという街の地理も歴史も名所も土産も、何一つ知らないまま乗り込んでしまった。ゴッホ美術館やアンネの家でさえ、友人が提案してくれて、ああそうか、と思い至った次第である。
 こういう状態なので、当然のこと、アムステルダムに存在する有名な“名物”に関しても1ミリも認識していなかった。再会した友人に言われて思い出した“合法ドラッグ(薬物)”と、ほとんど知識のなかった“飾り窓”である。

 アムステルダムで「Coffee Shop(コーヒーショップ)」という看板が見えたら、そこはただのカフェではない。なんか混じったものも飲める店である。そう、マリファナとかなんとか、そういう類の。ある種/いくばくかの薬物がオランダでは法の許す範囲内である、というのは知っていたが、まさか“喫茶店”で出てくるようなものとは思わなかった。せっかくなので友人と試してみようと思ったのだが、なにせ二人ともアムスは初めてでどういった店なら大丈夫かわからない(←どう“大丈夫”なんだか…)。試し方すらもわからないまま歩き疲れていたので、今回は結局見合わせてしまった。
 が、“飾り窓”に関しては試すもなにもない。通りを歩くだけで十分である。
 アムスのごく中心部の一帯が、いわゆる“赤線”街になっていて、これまた“合法的”に“売っている”お姉さん達がいるのだが、ブティックのショーウィンドウのごときガラスの窓の中に半裸の女性たちが立って、あるいは座り、あるいは手招きやらウィンクやらして外の殿方を誘い待っているのである。一応言っておくが、表通りに面して、である。窓の中は一様にピンクの照明に照らされていて*、そのような窓が数ブロックに渡って続いており、その灯りは更に運河にも反射して、まさに区画全体がピンクに浮かび上がって見えるようである。
 暗い夜の街、桃色にぼうっと浮かび上がる数々の窓の中で、ゆらゆらと揺れる人影がそこら中に…。「なんかこわいよーぅ…。」
 それはまるで巨大なホーンテッド・ハウス(お化け屋敷)のようであった…。
 そんな大っぴらなオトナの夜の街は、しかし既に観光名物と化しているようで、若者がグループではやし立てながら窓の前を取り囲んでいるような光景はもちろんのこと、老若問わず数多くのカップルがそこら中をぶらぶら歩き、あまつさえ揃って“オモチャ”のお店で土産(?)を買っていたりして、「(女性だけで歩くのは)危ない」とか「ちょっと裏側の世界」とかいう印象をまるで与えなかった。
 ちなみに、合法なのは「売春」であって、それは「売春する権利」に基づいているのであり、売春婦が自由意志で客と直接やりとりする、というものであるらしい(ウィキペディアより)。窓の中のお姉さん達は、はっきりと「お仕事」しているのであり、その“窓”は「営業所」なのであり、この区画には、だから「部屋貸します。身分証明書必須のこと。」というテナント募集の札を掲げた“空き窓”も多く見られた。

 *カーテンがかかっているのは“営業中”。




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