「月末はタマネギ」の巻

 月の初め、コース初日がAnreise(アンライゼ=到着)の日であるように、月の終わり、コース終了時にはAbreise(アップライゼ=出立)がある。
 毎日授業の学校生活。といっても、所詮は月極コースなので出会い・別れの繰り返しであるのはわかりきっているのだが、やはり別れは寂しいもの。特に、連日飲みに踊りに、などと日本ではしないような生活を共にした仲間となると、感慨もひとしおである。
 いつの間にやら、ゲーテでは長期滞在者の一員になっており、毎月毎月誰かを見送る側にいた。それはまるで、一枚一枚外側から順番に剥いでいかれる玉葱のような感覚で、気をつけないと涙が誘われて来るのであった。

 今月を最後に“卒業”するはずが、うっかり3月も残ることになったこの2月末。学校からも、既に学校を離れてドレスデンに滞在していた友人達も去ることになっていた。ゲーテ生活の最初、10月11月とクラスメイトだったオーストラリア人。12月クリスマス以来連日のように踊りに行った仲間の最後の一人の韓国人。そして…。

 2月最後の日曜日。前夜(も)遅くまで飲んでいたので起き出したのはもう決して早い時間ではない午前。最上階3階*の窓の外には羽の様な雪が流れるように踊っていた。
 時に激しく、時に小降りになりながら降り続く雪。それでも、遅まきながら気に入りのカフェまで出かけることにした。
 外へ出た途端にサングラスが欲しい程の眩しい光と青空。思いがけない天気に少し散歩を決めこみ、遠回りしてカフェに向かう次の曲り角。
 「Yuki!」
立ち止まってショートメールに返事を書いていた私を呼んだ声の主は、今まさにドレスデンを離れようと駅に向かう途中の友人。10月11月をゲーテで過ごし、以来よく一緒に飲みに出かけたりした彼は、ベルリンへ引っ越すのであった。ベルリンは遠い。列車で6時間である(笑・旅スキ「ベルリン・ミステリーナイト」の巻(未掲載) 参照)。予定より1日早く発つことになった彼にここで会えたのは、たまたま頭上に広がった輝く様な空のおかげか。
 私にとって最後の“10月組”が去って行った。


*日本では4階にあたる。




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