「鈴」

 アメリカでもそうだったが、ドイツに来てからも、私のお財布はレジ係の目を引き易い。
何の変哲もない赤いお財布(OASIS)なのであるが、人目を引くのは鈴である。紅葉柄の鞠型の鈴で、たしか9年も前に日光東照宮を訪れた際に買ったものだ。神社などでお守りのように頻繁に売っているものだし、日本人ならお財布の類に根付けだの鈴だのをつけるのはさして珍しくもないと思うのだが(そんなことないのかな)、欧米の人には、…と一括りにしては語弊があるかもしれないが、この鈴が珍しいらしい。
 鈴そのものが珍しいのかそれを財布にぶら下げるというのが珍しいのか、大抵「それなあに?」「綺麗だね」という言葉をいただく。言葉の通じにくい外国でこのようなささやかなやりとりが笑顔とともに交わせるのは、オアシスのようにほっとするものだ。「ただの鈴なんだけど。いいでしょ。お守りなの。」ぐらいの返事を用意してつけて歩くと、ちょっとした会話のきっかけになるかもしれない。




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