2010.5.23 「セーヌ河畔のノスタルジー」の巻

 エッフェル塔近くの駅を出た時は、辺りはもう夕闇の中だった。
 右手前にオレンジ色に浮かぶ優美な姿の鉄塔。左側はセーヌ川と、川面に明かりを反射させる対岸の建物郡が、幻想的な景色を作っている。でも、どこかで見た風景に似ている・・・?
「あ、ウチの大学前(飯田橋)のお堀端だ。」・・・するとエッフェル塔は東京タワーか?  東京暮らしが懐かしくなったか、それはちょっと、かつて世界を制した文化とファッションの街に対して失礼・・・と思いながら、観光客に賑わう夜のエッフェル塔へと向かう。
 4年前に一度友人と来た時上がったから、今日は上にまで行くつもりはない。それでも、気候も良く、日が長く、時間もあるのに、観光らしいものがノートルダム寺院だけでは勿体ないような気がして寄ったのだ。
 「わぁぁぁ!」と後ろのほうから声が上がった時、私はちょうど塔の股下・・もとい真下にいた。振り返ると、セーヌ対岸の建物に、花火のようにちらちらと反射して光っている。
花火ではない。時間はちょうど23時。「そういえば、23時ちょうどから何分間とか、だっけ?」 前日にどこかで読んだ観光案内を思い出した。1分間だったか、3分間だったか、エッフェル塔全体が点滅するのだ。反射しているのはそのチカチカだ。
 急ぎ足で、もと来たセーヌ側を目指す。土手に向かって少し坂になっている方。よく考えたら、反対側の公園の方へ抜けた方が早かったかも、間に合うか?と思いながら、塔の股下を抜け、見上げるとまだ点滅しているエッフェル塔。前回来た時は昼間だったから、今夜ライトアップされた夜景が見られただけでも得した気分だったのに、時間ちょうどとは、幸運だ。
 春のパリで、夜景で、エッフェル塔。ツレもいない一人歩きだけど、満足して飽きずに見上げていた。点滅は23時5分ぴったりに終了。余韻に浸りながら、ゆっくりと帰路についた。



ノートルダム寺院














ライトアップされたオレンジの中に、白く点滅する光。



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