「黄色と白は春の色 - シュパーゲルツァイト -」の巻

 人々のファッションに「季節感」というものが感じられず、天気も気温も変わりまくり、冬に雪が積もらないので当然雪解けもないようなデュッセルドルフであるが、春の到来は視覚的に確実にやってくる。街や店を彩るチューリップと、その後にやってくるアスパラガスである。

 およそ3月ぐらいからか、花屋の店頭には色とりどりのチューリップが大量に並びだす。スーパーの園芸コーナーにも例外なく並ぶそれは間もなく、カフェやレストランのテーブルを飾り、医者だの眼鏡屋だの旅行代理店だのと、およそお客を迎え入れるようなところにもれなく及ぶ。それも大概は黄色のチューリップだ。線路端や公園の花壇の水仙も負けじと春を主張するが、チューリップが目に入る率には敵わないだろう。しかもチューリップの花は、しおれるというより崩壊するようにいきなり花びらが落ちるので、各所に飾られている間、それらは常に瑞々しく生き生きとしている。その美しさと圧倒的浸透具合に、当初は「ドイツの春ってこうなのか!」と驚いたものだが、今では、その光景が始まると安心さえする。日本では薄紅の桜が春を確信させるように、ここでは黄色のチューリップが同じ役目を担っているようだ。
 そんなチューリップが、いつの間にかなくなる雪解けの如く、視界から消えた頃、そして変わりやすい4月の天気に右往左往し始める頃、やがて八百屋やスーパーの店先には白いアスパラガスの束が姿を見せ始める。次いでそれは、レストランや居酒屋の季節限定メニューとして現われ、目にも口にも、世の中が既に春の只中にいることを公にするのだ。気温がどれほど低くなっても確実に移る季節。初夏へ向かう春。
 ドイツでアスパラガス(Spargelシュパーゲル)といえば、基本的にはホワイトアスパラを指す。蝋燭みたいにしっかりした太さと長さの白アスパラが、束になって山積みされているその季節を「シュパーゲルツァイト(アスパラの時節)」と呼ぶのだが、この時期のアスパラは本当に美味だ。日本では缶詰しか知らず、生では食べつけなかった白アスパラだが、今では私も必ず買う。産地やモノにもよるが、良いものは本当に太くて大きく、概して決して安い食材ではないと思うが、まさに春の旬。料理に時間も労力も割かない私は、いつもひたすら茹でてハムだけ添える、という芸のない・・食材そのものの味を生かした食べ方をするのだが、これが本当に「激ウマ♪」。家族や友人には、一度この季節に来てみてもらいたいと思うのである。
 さて、このシュパーゲルツァイト、ドレスデンにいた頃はそこら中にアスパラ売りの屋台が出ていたものだが、デュッセルではそういう光景にはお目にかからない。しかし、いずれの場合も、もれなく苺の旬とも被っているらしく、スーパーでは果物コーナーに大量に現れ、ドレスデンで見たアスパラ売りの屋台は、同時に苺も木箱に入れて売っていたものである。単に同じ季節のものなのか、一説にはアスパラ農家が苺も作っているとか?誰かに真相を教えていただきたい。







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